「小学生のとき、クラスでサボテン育てていたんだけれど。毎日水あげてたら枯れちゃったんだよね。たま〜に、でよかったみたい」


「・・・なんだかオレ向き」
「何かと忙しいもんね」




「いや、Dはもう終ったからしばらくは余裕あるんだけど
たまに、ってところが・・・」





言って、恭子と目が合う。





『プロジェクトDが終らないうちは誰ともつきあわない。そう決めてるんだ』




二人、同じ言葉が脳裏をよぎった。





「あのさ・・・」
と、啓介がきりだす。


「あっ、あのね」と、恭子が思わず目をそらしながらすっとんきょうな声を出した。




「そんなつもりじゃ、ないから。ね?」




「いいよね、友達で」
はは、と笑う




・・・・・・・・。

・・・もしかして
「彼氏とか、いるの?」
ぎょ、とした顔で恭子が啓介を見る


「いいいい、いない、いない!」
首も手もぶんぶん振りながら否定する。


「・・・そう」

それ以上言葉が続かなかった。




 その言葉の続きを聞くのが怖くて
はぐらかした。



今こうしてあなたの側にいて、おしゃべりできる。
それだけでも嬉しいって
このときは本当にそう思っていたから


だから

友達でもいい



あなたの側にいさせてほしかった



それ以上は望まない

二度も同じ理由でふられたくないから。



あなたはどんどん遠くに行ってしまう人で。

そう思って、一度はあきらめた人なんだから



つき合って欲しいとか
『そんなつもりじゃ、ないから』




けれど
ここでボタンを掛け違えてしまったと気付いたのは、ずっと後になってからだった。



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